2022.10.03
東洋医学ってなに?④~気血水のバランス~
前回に引き続き、気血水についてお話します。
今回は具体的な症状やからだの状態について。
過去分はこちら⇩
前回のおさらい📖
気血水とは、からだを構成する三大要素のこと。
気・・・生命の源となるエネルギー(vital energy) 物質ではなく機能(function)
血・・・西洋医学的な意味での血液とその東洋医学的な作用(精神安定、筋肉・眼・皮膚を潤す、月経の安定等の作用)
水(津液)・・・血液以外の正常な体液の総称。(リンパ液、組織間液、消化液)
それぞれ足りているか・余っているかを下のように表します。
足りない | 余っている | |
気 | 気虚(ききょ) | 気滞(きたい) |
血 | 血虚(けっきょ) | 瘀血(おけつ) |
水 |
陰虚(いんきょ) |
水毒(すいどく) |
病態についてはは前回お話しましたので、
今回はそれぞれの症状を挙げていきます。
🔷気虚
- エネルギー不足となるため、元気がなくなり疲れやすくなります。
- 慢性疲労症候群、倦怠感、無気力、食後の眠気、消化吸収機能の低下
- 肉体的労作によって悪化します。
🔶気滞
- イライラしたり、落ち込みやすくなったり、ストレスに弱くなります。
- うつ病、不安感、喉のつまる感じ、息苦しい感じ、腹部の膨満感
- 精神的労作によって悪化します。
🔷血虚
- 血が量的に不足した病態です。
- 足のこむら返り、突発的に掻痒を繰り返す、乾燥の強いアトピー性皮膚炎、月経前緊張症(PMS、PMDD等)、月経困難、立ちくらみ、顔色不良、皮膚乾燥、脱毛、色素沈着、爪の変形
- 突発的に起こる症状、月経によって悪化する症状
🔶瘀血
- 月経の問題、循環障害、腫瘤の形成(子宮筋腫など)がみられます。
- 月経困難、更年期障害、月経前緊張症(PMS、PMDD)、下腹部の圧痛、膨満、紫斑皮膚粘膜の鬱血、血管拡張、痔
- 特に女性の月経や排卵などの月経周期に伴って出現あるいは憎悪しやすいですが、男性でも痔や打撲によるうっ血などで瘀血を呈する場合があります。
🔷津液不足
- 脱水症状
- 乾燥により悪化
- 風邪やウイルス性の感染症など
🔶水毒
- からだにおける水分が量的、あるいはその分布に異常をきたしている状態。
- 浮腫み、体腔水の過剰(関節水腫や腹水、胸水)、尿量・発汗量の異常、下痢、頭痛、めまい関節リウマチ、口渇
- 曇天や低気圧の接近によって悪化します。
このように、気・血・水いずれかの要素に一つでも過不足や停滞が起こると、からだやこころに様々な症状となって現れます。
どれかひとつではなく、組み合わさって症状がでる場合も少なくありません。
東洋医学には今回紹介した気血水だけでなく、様々な基本概念が存在します。(陰陽・虚実・寒熱・表裏・五臓など)
からだの状態や症状を、それらを通して認識します。
さらに病態の特異性を示す症候をとらえ、結果を統合・診断し治療していきます。
東洋医学は病名よりも、患者さんのからだに表れている病態の判定にあえて重きをおき、治療法を決定するのです。
病院に行っても原因がわからなかったり、
日によって症状が違ったり…
からだが今、どんな状態にあるのか、
意外と自分でもわからなかったりしますよね。
鍼灸師はさまざまな方法で判別する術を身につけております。
安心してご相談してみてくださいね。